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KUROの(全く方向性の定まっていない)趣味のあれこれ。

『陽炎』今野敏

陽炎 (ハルキ文庫―東京湾臨海署安積班 (こ3-16))陽炎 (ハルキ文庫―東京湾臨海署安積班 (こ3-16))
(2006/01)
今野 敏

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【あらすじ】
東京湾臨海署強行犯係の活躍を描く短編集。
「偽装」、「待機寮」、「アプローチ」、「予知夢」、「科学捜査」、「張り込み」、「トウキョウ・コネクション」、「陽炎」の8編を収録


東京湾に再び帰ってきた安積班。やっぱり彼らには東京の湾岸が似合う!!と、いうわけで新・安積班シリーズ短編集その1。
今回は割とミーハー風味な文章になってます(^^;


・「偽装」
レインボーブリッジ上に停車していた車の中から男女連名の遺書が発見される。
覚悟の上の心中と思われたが、現場を確認した須田はこれが偽装ではないかと疑う。


須田が密かに好きだった女性(近日中に須田の友人と結婚)の言葉が閃きとなり筋読みされた事件。
物事を見抜く須田の嗅覚は相変わらずです。
須田みたいな人が現実にいたら速水さんでなくても生涯の伴侶にしたい!!(笑)

それにしても速水シンパはやはり地域課にもいたのか…。


・「待機寮」
独身警察官の住まいである待機寮。その中で後輩に無理難題を押し付ける中園巡査長に寮の自治委員長を務める須田は困り果てていた。黒木はそんな須田を助けようとするが、そのために体調を崩してしまう。
そんな時に潮風公園内に逃げ込んだ逃走犯の追跡をする事に。中園と黒木の前に拳銃を持った犯人が立ちはだかる。

珍しく黒木が中心で進む、いかにも黒木らしい話。

寮は警察内にあるものの、プライベートな時間であっても須田が困っていれば助けたいと感じる黒木。そのために彼はピンチに陥ってしまいます。黒木がいかに須田を尊敬するかがわかる作品。
そして黒木・須田に限らず安積班メンバーのつきあいは仕事上だけの物では無いんだなぁと感じました。
(『神南署安積班』の「刑事部屋の容疑者たち」を読んだときもそう思ったけど)

散々な目に遭わされた中園のプライドも重んじるのがいかにも黒木。


・「アプローチ」
臨海所管内で少女のレイプ事件が発生した。被害者から事情を聞くために安積は村雨を向かわせようとするが、村雨は須田の同行を願い出る。性格の全く違う二人が導き出した事件の結末とは?

「村雨は事実を把握し、須田は人の心を把握する」
速水は彼らの事件に対するアプローチの仕方をこう安積に説明している。自分の部下でもないのにこの把握ぶり…。流石速水(笑)

安積は自身の性格的に村雨のやり方は苦手で、須田のやり方を好いている。勿論、その事を表に出すことは無いので仕事に支障をきたすことはない。安積は村雨に苦手意識を持ちながらも必要とし、信頼しているのだ。
しかし、自分の須田を好いている気持ちがいつしか二人の同格の刑事の間に亀裂を生むのでは無いかと安積は心配している…。

他人からすれば考えすぎ。でも安積からすれば大問題。それが安積警部補の面白いところなんですが…。
この考えは杞憂だということはラストで証明されます。


・「予知夢」
強行犯係ナンバー2の村雨秋彦は、周囲から杓子定規な警官と思われている。本人もそれを自覚しており、淡々と職務をこなす毎日を過ごしていた。そんな村雨が妙に現実味のある夢を見る。
不思議な夢を見た日に起こったオヤジ狩り事件。容疑者として浮かび上がってきたのはかつて村雨が単純な喧嘩として無罪放免した少年だった。村雨は夢の内容と相まってこれが単純な事件ではないと感じるが…


実はこの本で一番好きな話。
あの村雨が主人公の話です。しかも予知夢らしき夢を見るという絶対村雨に似合わない展開が面白い。

今までのシリーズでの村雨は、杓子定規ながらさり気ないところで「あれ?」と思わせる刑事でしたが、この話で初めて彼の本音を知ることができます。それ以降は村雨の事が好きになりましたよ(その後『半夏生』を読んで大ブレイク・笑)


・「科学捜査」
海浜公園で女性の全裸死体が見つかった。現場に駆けつけた安積は本庁の刑事達が連れてきた不思議な青年と出会う。
恐ろしいほどの美貌の持ち主でもある青年は、科学的見地から事件を捜査する為に実験的に作られた科学特捜班(ST)の青山だった。

安積班シリーズにあの「ST」の青山君登場!!
「ST」シリーズについてはこれからまたちょこっと書きたい…(何時になるかはわかりませんが)

「ST」でも彼の決めぜりふのような感じになっている「ねえ、もう帰っていい?」が炸裂し、村雨を思いっきり怒らせる…。流石青山君。出張先でもやってくれます。

作品自体面白い話ですが、見所は鑑識の石倉さんと青山君の職人同士の丁々発止のやり取りかも知れない。


・「張り込み」
車の中で張り込みをする安積と速水。本庁生安課主導の麻薬取引現場の捕り物に臨海署員も駆り出されているのだった。
しかし、警官が取引現場に踏み込んだところ犯人は老婦人を人質に逃走してしまった。
速水と安積の追跡が始まる。

この作品と「トウキョウ・コネクション」は似たような内容になってますね…。両方須田が絡むし。
しかしこちらは速水の臨海署交通課パトカー乗務員たちの人心掌握っぷりが光ります。

普段からパトカー乗り達にヘッド呼ばれてるし、自身はサイレンと回転灯を走り屋の最強アイテムっていうし速水こそ本物のゾクっぽい。それでも暴走行為をする者の検挙に燃えてるんだからよーわからん人である(笑)


・「トウキョウ・コネクション」
本庁の国際薬物対策室主導の麻薬取引の捕り物に助っ人で参加することになった安積・須田・速水。須田が駆り出されたのは彼の英語力に期待してのことだった。
全てがお膳立てされた上での捕り物で安積達の出る幕は無いかと思われたが、現場に現れたマフィアの幹部たちは偽物だった。須田の機転で香港マフィアの幹部エイク・チャンを発見した安積と速水は追跡する

こちらも「張り込み」と同じような内容にはなってますが、こちらは安積さんがより酷い目に遭ってます(笑)
この人は年々速水の(スピードによる)被害に遭う確率が上がってるような気がする…。

それでも速水や須田の手柄を誇らしく思い、うれしさを噛みしめる安積は何となく可愛い(中年刑事に使う形容ではありませんが)


・「陽炎」
受験のため東京で暮らしている予備校生・坂崎康太は自問していた。何でこんな事になったんだろうと。
盛夏。陽炎の立つ炎天下のビルの屋上。隣にはギャル系の女の子。彼女は自分が持ってないナイフで脅した「人質」だった。
ほんのちょっとした出来事から警察に追われる羽目になった康太は、逃走中彼女を捕まえてビルの屋上に逃げ込んだのだ。彼女との自殺まで考えはじめた康太の前に、一人の中年刑事が現れた。


ごくごく普通の青年がほんのちょっとした出来事から大事に巻き込まれるという展開は、同作者の『アキハバラ』という作品を思い出させます(あちらは本当にとんでも無い目にあってましたが)

受験勉強と都会に慣れなくてストレス満点の康太と仲がいいと思っていた友達の誘いを断ったために独りになってしまったエミ。
二人が軽い気持ちで死ぬことまで考えたとき、救いの主となったのは安積警部補でした。

笑えるし何でもないような話なんですが、二人の境遇に少しだけ考えさせられます。
そして、安積さんはやっぱり頼れる大人です。
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[ 2008/10/19 21:00 ] 今野敏 安積班シリーズ | TB(0) | CM(0)
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