desert season

KUROの(全く方向性の定まっていない)趣味のあれこれ。

『蓬莱』/今野敏 

蓬莱 (講談社文庫)蓬莱 (今野 敏/講談社文庫)
(1997/07)
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ゲーム製作会社「ワタセ・ワークス」の社長・渡瀬は、ある晩ヤクザに人気ゲームソフト『蓬莱』のスーパーファミコンへの移植を中止しろと脅された。
それにひき続いて『蓬莱』の企画を立てたプログラマーが謎の死を遂げ、会社は発売を中止させるためと思われる執拗な妨害を受ける。
『蓬莱』に隠されているものは?発売を妨害する者達の目的は?


久々の「安積班シリーズ」について(過去の今野さん関連の記事はこちら
ただし、今まで紹介してきた安積ものとは少し趣の違う作品です。
●黒猫のひとこと

私が初めて読んだ今野さんの本は学生時代に読んだ『ST 警視庁科学特捜班』なんですが、今野さんの名前を初めて知ったのは多分この『蓬莱』です。
ただ、その時は伝奇小説だと思いこんでて(多分文庫版の裏表紙の作品紹介のせいだ思う)結局手に取りませんでした。
でも、『蓬莱』を知った頃の私はシリーズ探偵ものが好きだった時期でもあったから、たとえ手にとってても最初の数ページを読んで本を閉じてたと思う…。


さて、今回安積班シリーズの1冊としてご紹介する『蓬莱』ですが、実はシリーズに含めるのは少し微妙な気もします。

というのも、『蓬莱』の主人公はあくまでソフト会社の社長・渡瀬であり、安積は準主人公といった役どころなのです。
しかしその存在感は大きく、ただの脇役には止まらないので、私の中では同傾向の作品である『イコン』共々シリーズの一作として考えています。

安積班のメンバーが主人公ではないこの作品は“他人が見た安積の人物像”が分かるのが面白い。
特に安積の容貌に関する描写はこの作品か短編の「陽炎」ぐらいでしかわからないのでちょっと貴重です(安積視点だとせいぜい「くたびれた中年男」だから…)

ちなみに安積以外には須田、黒木。電話番をしている桜井が登場します。


『蓬莱』は、ゲームソフト「蓬莱」に込められた謎の解明を縦糸に。その謎のソフトの開発に深く携わったプログラマーの死の謎の解明を横糸に編まれたエンターテイメント小説です。

「蓬莱」の謎を追うのが、このソフトの為に様々な妨害工作を受けてしまうソフト会社社長の渡瀬。事故死の謎を追うのが神南署の刑事である安積。

その両方の謎が解明する時、黒幕の驚くべき目的が判明します。


私の感想なんですが実は正直に言うと、初読のとき、作品の肝であるゲームソフト「蓬莱」に込められた謎(思想?歴史観?)の部分が私には少々辛かった…。
全編読み通した今なら、そこが重要な部分であり、作品の読みどころであることもわかるけど、最初単純に推理小説を読むような心構えで読んだので、その部分が凄く突飛な気がしたのです。
かといって読み飛ばせば、作品の面白さが消滅してしまうので、ちょっと困りました。

これは、あくまで私の読むときの思い込みのせいなんですが…(^^;

ただ中盤、渡瀬がヤクザから2度目の襲撃に遭って、豹変したあたりから一気に読まされます。
自分の信念から何かに立ち向かい、戦い続けようとするキャラクターは今野作品に多く登場する人物造形ですが、渡瀬もそんな一人です。

渡瀬の覚悟が、ワタセ・ワークスの社員一同の覚悟になり、やがて大きな力を持つ黒幕と対決できるまでになります。

一般人である渡瀬を支えるのは、殺人事件を追う安積であり、彼を変えるきっかけを作ったバーテンダー坂本です。
坂本は事件そのものには関わってきませんが、強いインパクトがあり、いぶし銀な魅力を持つ
人物。今野作品の中でもかなり好きなキャラクターの一人です。
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[ 2008/02/08 23:49 ] 安積班シリーズ | TB(0) | CM(0)
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