desert season

KUROの(全く方向性の定まっていない)趣味のあれこれ。

相棒 season13 第5話「最期の告白」 

・『相棒13』第5話「最期の告白」の感想です。


・ 右京と享が食事をしていていると、食い逃げしようとする男と遭遇する。
その男・滝沢は体調が思わしくなく、どうしても年越しを拘留施設で迎えたいがためにわざと無銭飲食で捕まろうとしたのだ。その滝沢が交番を去る間際、「5年前に人を殺した」と口走る。
その言葉が気になった二人が、当時起きた事件を調べると、目黒区内で起こった強盗殺人事件が浮かび上がってくる。しかし、その事件ではすでに別の男が逮捕されており、既に死刑が確定していた…。

男を逮捕したのが、享が勤務していた中根署に出向き、かつての上司であった堀江に話を聞く。


・右京と享が留置所にいれられているという衝撃的なシーンで始まった今回は、『真実を明らかにする事は、果たして是か非か?』が問われるお話。

享にとってかつての恩人であり、上司だった堀江が絡んだ事件だっただけに享は苦しむ事になってしまいます。


・勿論、事実を捻じ曲げて隠蔽する事は警察官にとってあるまじきこと。
しかし、今回明らかになった真実は人の情が微妙に絡む事もあって決して「解決してめでたしめでたし」の一言で終われるようなものではありませんでした。
しかも今回の事件は全てが冤罪であっただけではなく、真実が明らかになった所で量刑は変わらない。死刑囚となった岩倉がついた「嘘」は彼の娘の為に憑つかれた所謂「優しい嘘」といえるものでした。

事実が明らかになった場合、娘はろくでなしの父親に対して唯一の清い思い出が汚され、男の切実な思いを無碍にできず事実が変わらないと考えた堀井は警察を去らなければいけない事になる。

堀井は善良な警察官で、上司としても下に慕われる人物でした。だからこそ、堀井の部下達は昔の仲間である享に無体を働いても堀井を守ろうとしたんだと思います(一見、腹立たしい彼らの行動も今思えばその為だったんだと思う)。
父親に指摘されるまでも無く、恩人である堀井を追い詰めるこの事実に享は大いに悩みます。一時は、右京に捜査対する躊躇いを口にするぐらいに…。

一方で真実が明らかになった事は、この事件に関わった人たちにとって一種の「救い」をもたらしました。

無実の罪を他人に被せた事を苦しく感じていちあ真犯人であった滝沢は死の間際に自分の罪を告白する事で救いを得、岩倉の娘は真相を知って心を動かし、父に本当の事を言って欲しいと説得して、岩倉も真実を明らかにする事に同意した。
そして、心ならずも隠蔽を行った堀井は退職する事になったものの、胸のつかえが取れたと右京と享がもたらした結末に感謝をしています。


・結果(今回ならば滝沢の死刑が取り消されるわけではない)が変わらないならば、全て無かった事にしてしまえば一つの安寧が得られる。
でも、その安寧の中に閉じこもってしまって救い(今回ならばそれぞれ事件にかかわった人物たちの心に対する救い)は得られない。
結局、右京さんがやった事は正しいという結末で今回は終わります。


・今回印象に残るのは甲斐次長と右京さんとのやり取り。

甲斐次長は今回の件に特別介入したのは、刑事部長のように冤罪が明らかになる事を恐れていたわけではなく、滝沢と堀江の間で行われた「司法取引」が明らかになる事によって今後、組織犯罪解決の為に行おうとしている司法取引について批判を集めたくなかったから。

確かに、組織犯罪を解決するには今までの取り調べでは足りないものがある。司法取引は今後の事件捜査にとって一つの武器になる事は明らか。
甲斐次長は組織の安寧の為だけでなく、大局的な立場から今回の事件を「何も無かった」ようにしたかったのです。

実は右京さんもその事は十分わかっています(だから「司法取引」の問題点を指摘しつつも完全否定しているわけではない)。それを十分承知しつつも右京さんは「真実」が明らかになるという正義の方を選択した。

あくまで大局でものを見、その為ならば隠蔽も辞さない次長と、あくまで大局を知りつつも正義をとる右京。
その立場の違いが浮き彫りになるシーンだったと思いました。


・もう一つ思ったのは今回の話の結末は上手い具合にハッピーエンド気味に終わってはいますが、実は誰にも救いをもたらさない結末もありえたということ。
そうなった場合、右京と享は事件に関わった者たちに多いに恨まれることになったはず…。また、享も恩人の堀江を警察から追い出す片棒を担いだ事に傷つき、右京を恨んだかもしれない。
「右京の正義」は、誰かを傷つける事になるかもしれない「諸刃の剣」でもあるのです。

しかし、かつて神戸君に真実を明らかにする残酷さについて問われた時にも言った事がありましたが、杉下右京という人は人の罪と向きあって真実を追う以上、真実の残酷さからも目を背けるべきではない、というスタンスに立っています。

今回のエピソードは、改めて杉下右京という人の厳しさと強さを垣間見たような気がしました。


・今回のシナリオは、結末は確かにご都合主義のような気もしますが(でもそれは人としての「正しさ」の現れのようにも思う)、杉下右京の怖さや強さ。そして、甲斐次長という人物の冷徹さが表れていたような気がしました。

享にとっては少し辛い展開ではありましたが、彼がやってきたことが報われる瞬間が描かれていた事にも救いがあって見ていて少し心が救われました。

何より話に救いがあった事が、私的には非常に良かったと思っています(厳しい現実が突きつけられるのが『相棒』ですが、たまにはこんな終わり方も良かったのではないかと…)。

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