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KUROの(全く方向性の定まっていない)趣味のあれこれ。

相棒season11 第19話「酒壷の蛇」 

・大変お久しぶりですが『相棒シーズン11』第19話の感想です。


・神戸尊の警察庁異動に伴い新しい“相棒”甲斐享を迎えたシーズン11も遂に最終回を迎えました。

毎週今回はどんなものを見せてくれるんだろうとドキドキしつつ、もしかしたら今シーズンで観るのやめちゃうかもな~、なーんて事を考えていましたが、結局完走してしまいました。

各話のシナリオについては自分の好き嫌いがあるので多くは申し上げませんが、今シーズンもおおむねクオリティの高いシーズンだったように思います。

また享やその恋人である悦子等の新キャラクターの登場に加え、現在映画上映中の伊丹刑事や角田課長などレギュラーメンバーについても、今まで以上に深みというか味のようなものが出てきたようにも感じました。

特に、映画にも登場した伊丹の“相棒”岩月は映画だけの登場ではもったいない良キャラクター。
出来れば来シーズン以降も陣川君のように準レギュラー化していただきたいです。
(映画と言えば陣川君は新しい映画にもちゃんと出演していました。珍しく経理の仕事をしている姿は一見の価値あり!)


・と、今シーズン全体の事から書き始めてしまいましたが、「酒壷の蛇」について。

角田課長の同期で組対二課の課長でもある恩地が自宅で毒キノコを食して死亡するという事件が発生。
食中毒とはいえ警察幹部が毒キノコを誤って食べて亡くなるという「不祥事」に、大河内首席監察官が調査に乗り出し、遺体は司法解剖される事になります。
しかし結局不審な点は見つからず、この件は事故として処理される事になりました。

恩地が生前ある女性とこっそり連絡をとっていた事を知った右京と享は話を聞くため、その女性・いづみが勤める炭素繊維を扱う会社を訪ねます。しかし、彼女はあいにくと留守。
それどころかその後何度となく会おうとしますが何故か会う事ができません。

右京が機転を利かせることで、待ち伏せして何とか話をする事が出来ましたが、いづみは恩地の事は全く知らないと証言。
偶然いづみの知り合いだった悦子の話では、いづみは近々アドリア大使館に勤める・井川と結婚の予定があるということを知ります。

やがて捜査が進み恩地が輸出制限のある炭素繊維を不正に持ち出した外為法違反容疑でいづみが務める会社を調べていた事が判明。更に、いづみの婚約者の井川がアドリア大使館に存在しなことが明らかになります。

一人の刑事の死が、やがて国家ぐるみの大きな事件へと発展。
右京と享は容疑者を捕まえる為奔走しますが、思わぬ「敵」がその前に立ちはだかる事になってしまいます…。


・本当に怖い話です。
何が怖いって、今回の事件はスパイ天国とも言われる日本では決して有り得ない事ではな事が怖い。

更に、最初こそ巻き込まれた状況だったとはいえ、事実を薄々感じながらもいとも簡単に思考停止してしまったいづみの事が恐ろしい…。

何故炭素繊維の輸出制限があるのか?
それが持ち出された場合どうなってしまうのか?

いづみは企業の機密事項には関わらない極々普通の女性でしたが、いくらでも考える事はでき、それを理解できる頭はあったはず。
しかし、今ある愛を失う事を恐れて最終的には某国のスパイの思惑通りに、一人の人間の命を奪ってしまいます。

「愛」に生きたのだと言えば多少綺麗に聞こえますが、彼女の行いはあまりにも罪深すぎる!
しかも“犯人”からの手紙で指摘されるまでそれを本当の意味で実感できなかったというのが何とも痛々しい。

日本という個人の裁量でいくらでも考える事ができる国に生まれながら、その権利を自ら放棄し、安逸の海に沈んでいった彼女はあまりにも愚か。しかし本当に怖いのは、いづみが特別愚かだったというのではなく、状況によっては誰にでも起こりうる「愚かさ」だという事です。

自分の希望に沿わないからと言って考えてしまう事を辞める恐ろしさがじんわりと身にしみました。


・そして甲斐次長が捜査員の努力や日本国民の命(恩地や安孫子)が失われた事を無視して、事件の犯人をCIAに恩を売る材料に使った事が恐ろしい。

将来的にみるならCIA=米国に恩を売る事は、今後の捜査上、また安全保障上融通をきかせられる事ができ、日本の国益にもつながることではある。でも、その大事の為に(甲斐次長にとっての)小事は切って捨てられました。

本来、日本国民を守る為の捜査中殺害された恩地は二階級特進。更に警察葬を持って葬られるに相応しい警察官でした。右京と享、現場の捜査員や角田課長はそれを知り、今回八面六臂の活躍を見せた大河内監察官もその事実を知っています。
しかし、国家間の取引に使われてしまった以上その事実は公表される事はない。
恩地は「毒キノコを食べて死んだ間抜けな警察幹部」として葬られるのです。

勿論、甲斐次長は日本の将来の国益の為にこの選択をしたのだと思います(自身の権力強化の意味もあるとは思いますが)。
しかし、これが望まれる警察官の「正義」と言えるのか?

本当に考えて、考えて、考えさせられます。


・今回、享は大きな失敗を犯してしまいまいました。
容疑者逮捕の為の右京や大河内の計画が進行する中、享が甲斐次長からかかってきた電話の不意の一言に反応してしまったばかりにその事実を突き止められ、事前に計画を阻止されてしまいます。

享はその事で大いに堕ち込んでしまいました。

甲斐次長は息子の享に対して愚か者と断じているようですが…右京はそうではない。

享は若くこのシーズン中でも数々の失敗を犯しましたが、それでも決して「警察官」である事からは逃げようとはしませんでした。

正義を貫こうとし、被害者を慮り、真実を見極める為邁進する。間違えば自分を省みる事もできる。
また、人に好かれる資質もある。
「警察官」として得難い資質を享は数多く持っています。
そして、それこそが右京が享に惹かれ彼を自分のいる特命係に引き抜いた理由だったのです。

甲斐次長からすれば警察に必要なのは自分のような警察官僚であり、享のような一般の警察官は大極を見ながら動かしていくただの駒。甲斐次長が享を辞めさせたがっているのも、使われるだけの駒が実の息子である事。それでいて自分の言う事を聞かない事を嫌悪しているからだと思われます。(多分享がキャリアだったら次長は享を辞めさせたがったりはしなかったと思う)
更に推測を進めるならば次長が右京に好意的な態度を示すのは、右京が現場に居続けながら優秀な頭脳を持つキャリアでもあり、自分ならばかつての小野田官房長のように杉下右京を生かす事ができ、その上で右京ならば自分が持つキャリアの視点を共有できると考えていると考えられます。

しかし、実は次長と同じ大極を見る立場でいなければいけないキャリア組であるはずの右京は、享持っているものこそが警察に必要なものと思っているのです。
甲斐次長はその点で、杉下右京と言う男を見誤っていたと言えると思います…。


・今回ラストの会話で甲斐次長は右京の考えを知ることになりました。

でも、だからと言って次長が次のシーズンから右京の完全な敵になるとは思えません。
右京の本心を呑みこみつつ、それでも利用しようとする柔軟さは流石に持ち合わせていると思われます。

一方、享の方も今回の失敗を振り返って自分が如何に父親と向き合う事を避けてきたかを知りました。
もし享が次長という人間をもっと知っていればあの失敗は防げていたかもしれません。

来シーズンはむやみに避けようとするだけでなく、対決する姿勢を持つ事になるのか?

「酒壷の蛇」自体はモヤモヤの残る話ではありましたが、今回の享の成長を見ると来シーズン以降がますます楽しみになってきました。

毎年もう感想書かずに観ようかなと思う『相棒』ですが、シーズン12でも引き続き感想を書いていけたらなと、思っています。



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[ 2013/04/06 15:51 ] 相棒 season11 | TB(0) | CM(0)
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