desert season

KUROの(全く方向性の定まっていない)趣味のあれこれ。

血界戦線-The Outlaw of Green- 

・2012年9月発売「ジャンプSQ.19」掲載、『血界戦線-The Outlaw of Green-』の感想です。


今回の主役は久々にクラウス。
なんとも不器用な二人の“男”の物語。


・レオが初めてライブラの事務所を訪れた際、クラウスは部屋中に所狭しと置かれた鉢植えに水をあげていました。
それはただのインテリアとしての観葉植物では無い。

クラウスにとっては大切なもので、ザップが室内で襲いかかってくればわざわざ鉢を避けて床に落としてたし、その後不可抗力とはいえ鉢植えを破壊した特殊部隊を大いなる八つ当たりで殲滅していました。

そう、彼の趣味はガーデニング。しかも、玄人裸足の“ガーデナー”なのである…。


・クラウスに仕える執事曰く『ラインヘルツ家に庭師要らず』というからその植物を育てる腕前は相当なもの。

普通の植物だけでは無く、ザップを丸のみできるぐらいの(文字通り)人を喰うような異界の植物なども育てられるのだから筋金入りの『グリーンフィンガー(緑の指、植物を育てるのが上手い人を指すらしい)』の持ち主ともいえるかもしれない。

そんなクラウスは趣味の園芸サークルに所属している。

メンバーは植物を育てるのが趣味のご老人達。
とある植物園に集まり、お茶を飲みながら自分の育てた鉢植えを披露したり、情報を交換したりする非常に和やかな雰囲気のサークル(…の割には預かってる食人(?)植物は実はこのサークルの誰かの持ち物らしいので、そういう所は如何にもヘルサレムズ・ロット的)。
ゴツイ上に顔の怖いクラウスは正直その中では浮くはずだけど、誰も彼を怖がる事はなく、すっかりメンバーに馴染んでしまっています。

そのサークルメンバー達から敬意をこめて「先生」と呼ばれている男がいました。
サークルが根城にしている植物園の庭師で、名はキリシマ。
彼は親を亡くした少女・メイヴィと暮らしている。メイヴィは両親を失ったショックからすっかり言葉を無くしてしまっていましたが、キリシマの育てる植物と、何より彼の支えで少しずつ元気を取り戻しつつありました。

穏やかなキリシマはヘルサレムズ・ロットという街には似合わない、争いごととは無縁の男に見えました。

しかし、彼の「本当の仕事」が、クラウスの「仕事」と深くかかわることになってしまいます…。


・キリシマの正体は、弱小ながらH・Lに事務所を構える滑塵組という組織の構成員。

外界にいた時は小間使い程度の役割でしたが、異界の植物さえ扱うことのできる彼の園芸の“才能”は、何でもありのこの街においてヤクザ同士の抗争に生かされることになりました。
身体強化できる植物の鎧を纏い「グリーンアイドモンスター」と化した彼は文字通り「無敵」。対立関係にある巨大組織・九頭見会に小さな組が一息に飲み込まれないのも彼のこの力のおかげでした。

実は直接面識があったわけではないメイヴィを引き取ったのには理由があります。

それは「償い」の為。

九頭見会との抗争中、キリシマは偶然その近くにいたメイヴィの両親を巻きこみ、死なせてしまったのです。

この二人の関係が判明した時、私は思わず内藤先生が原作を務めた『GUNGURAVE』のマリアと彼女の養父・ジェスターの関係を思い出していました。

ジェスターもまた、抗争中誤ってマリアの母親の命を奪ってしまい、その事を後悔した彼は組織を抜けて、堅気となってマリアを育てました。
ジェスターの幸運は、彼が属していた組織がある程度強大で、それを束ねていたのが彼の親友でもあったあのビッグダディだった事。裏組織のボスながら人格者でもあったダディはジェスターの意思を汲み、彼が組織を抜ける事を許したのです。

一方、キリシマの不幸は、彼の所属する組織は弱小で、彼の持つ能力こそが組を生き残らせる支えであったという事。また、彼が古いタイプの「極道者」だった事でした。

キリシマの能力こそが組の支えである、という事は、彼はその気になればメイヴィと共に足抜けし、逃避行する事も、逆にのし上がってボスになる事もできる「力」を持っていたという事。

しかし、自分のせいで親を亡くしたメイヴィを償いの為に引き取り育てていても、彼の兄貴分が彼の“植物”を使って組織内で伸し上ろうとしている事に気づいて苦悩しても、強大な組織の前に風前の灯である組と親分の為に組を抜けることが出来ないでいる。いや、組を抜けるという発想自体彼は持っていのかもしれない。

「親」である組長に忠義を尽くし、義理人情を重んじる。
生き馬の目を抜く世界で形骸化しつつある精神を後生大事に抱えた“不器用な男”。

キリシマはそんな男でした。


・スティーブンが入手した「グリーンアイドモンスター」の情報を元に動き出したライブラ。

クラウスがキリシマの植物園で活動していた園芸サークルにいたのは偶然だったのか?はたまた故意だったのか?
…どうもクラウスの事ですから偶然だったような気がしますが、入手された情報の中にキリシマの姿を見つけたクラウスは真っ先に本人に会いに行きます。

クラウスの目的は二つ。

一つは、世界の戦争の様相を一変しかねない暴力存在「グリーンアイドモンスター」についてキリシマの知ることを喋らせる事。

そしてもう一つは、抗争に巻き込まれかねないメイヴィの安全の為に自分に何かできる事が無いか尋ねるため。

クラウスはライブラのリーダーとして行動しながらも、一人の『友人として』キリシマに会いに来たのです。

恐らくクラウスがその気になら、もっと乱暴なやり方で情報を得る事や、メイヴィの安全のみを考えるならば、無理やりキリシマの手から浚う事だってはできたはず。

しかし、彼はあえてそんな事はしなかった。

自分の素姓をあっさりと明かし(丁寧に自己紹介を始めてキリシマを驚かせる)、真っ直ぐに言葉を投げかける。

キリシマの「正体」や、その周辺の事情も承知の上。
更にキリシマと敵対する事も視野に入れながらも、それでもクラウスは「友人」として行動したのです。


・クラウスの本気度合いはキリシマに十分伝わっていました。
しかし、その態度に心を揺さぶられながらもキリシマは結局極道である事から逃れられられず、クラウスを毒花で痺れさせると、仲間とともに九頭見会との抗争に向かってしまいます。

しかも間の悪い事に、キリシマの情報を得た九頭見会にメイヴィを浚われてしまったのです。

身体が痺れ、はっきりしない意識の中でクラウスは、殴られたメイヴィの顔を見ます。
そして彼女が丹精込めて育てた鉢植えが割られた音を聞きました。その瞬間、ブチ切れ!!
自力で痺れを解き、メイヴィを傷つけたサイボーグ極道を屠ると、その足で九頭見会の事務所に向かい、組を壊滅してしまったのでした…。


・クラウスは、世界の均衡を守ると標榜し、時には本当に世界を救ってしまう組織のリーダーとしては甘さを抱えた人物です。

ある時は会ったばかりの少年を庇って重傷を負い、ある時は自分の死を願った人物の為でも命を賭ける。
今回も一人でメイヴィを助けに行ってしまった為にボロボロになってしまいます。

キリシマも不器用な男でしたが、クラウスも相当不器用。もっと自分が傷つかないやり方はいくらでもありそうなのにそれは選ばない。いや、選べない。かつてチェインが呆れたのもわかる気がします。

しかし、誠実な紳士であり、自分が傷ついたとしても弱き者を守ろうとする所はクラウスの美点であり、彼がリーダーとして仲間から信頼され、慕われる理由でもあるような気がします。


・一人で九頭見会事務所に乗り込んだクラウスを迎えに来たスティーブンは、ちょっとだけ苦言を呈しますが、焦りながら下手な言い訳をするクラウスを見るまなざしはあくまでも優しい…。

恐らく「リーダーの副官」としてのスティーブンにとっては、クラウスの今回のような行動はちょっと困りものなはず。
それでも、彼の行動そのものは非難せず、むしろ次にこのような事があれば呼んで欲しいと頼むのは、結局彼もクラウスのそういう点を凄く気にいってるからなのでしょう。

だからこそ彼は自身も私設部隊を抱えるリーダーでありながら、(たまには頭を抱えながらも)クラウスを副官として支え続けているのかもしれません。


・…と、最後の最後でスティーブンがどういう思いでクラウスの副官をしてるのかな~なんて事に思いをはせてしまいましたが(笑)何にしろ今回も面白かったです。

今回の話でクラウスの誠実さと、怒りに我を忘れた時の恐ろしさを改めて思い知らされました。
キリシマのキャラクターも良かった(なんてたって今までこの漫画で登場した人物の中ではかなりまともだし・笑)

無事メイヴィと再会したキリシマはどうやらヤクザを辞める様子(今回ラストについてた『桐島、極道やめるってよ…』というあおり文は秀逸だと思う。まさかこのあおり文の為に彼の名は「キリシマ」?)。
元気になったメイヴィと共にまた登場してくれると嬉しいな~。


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『血界戦線』は次回掲載までに更新が目標です。

※現在更新停滞ぎみです…。アニメ『血界戦線』第2期までには調子を戻したい…

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