desert season

KUROの(全く方向性の定まっていない)趣味のあれこれ。

『血界戦線-Don't forget to don't forget me-』 

大変遅くなりましたが(もう発売から1カ月経っちゃってるよ…)、「ジャンプSQ.19」2011年秋号掲載の『血界戦線-Don't forget to don't forget me』の感想です。

同号掲載の1作目とは全く趣が異なる少し胸にジンと来る漫画になっていました。。


混沌極めるヘルサレムズ・ロット(以下、H・L)の中でも大崩壊前の面影を残す地区「42番街」。
大崩壊を生き残った“サヴァイヴァー(生き残った市民たち)”に人気の土地であり、入口にはゲートが設置され、使用される通貨はH・Lの「ゼーロ」ではなく、外界と同じ「ドル」。
街区全体を霧を遮断する屋根で覆い、更にその裏側には青空を照射するなど膨大な維持費を掛けて限りなくかつての「ニューヨークシティ」を再現しているこの地区は、口さがない人たちから「隔離居住区の貴族(ゲットー・ヘイツ)」と呼ばれている…。


「Don't forget to don't forget me」はそんなH・L内にありながら“月よりも遠い世界”で売られているハンバーガーに憧れるキノコに似た異界人・ネジと、ひょんなことから彼と知り合ったレオの奇妙な友情が描かれています。


・『血界戦線』の舞台である「ヘルサレムズ・ロット」は異界と人界が混ざり合った街。
そこに住む住人はほとんど異界人(異界存在)ですが、様々な理由で人類も暮らしている。
この街が秘める“力”を求める裏社会の人間は勿論の事、街中に大企業の支店がある事からまっとうなビジネスで滞在している人間や、外界から観光客。また、“生粋のニューヨーカー”もいるらしい。
かつて「人種のるつぼ」と称されたこの街は、大崩壊の後も様々な種族が「共存」している街と化しています。

しかし、現実のニューヨークが多種多様な文化を飲みこみながらそれらが決して混じり合う事が無い「分離社会」であるように(調べてみると現在は「るつぼ」ではなく、並立共存を強調する「サラダボウル」が用いられているらしい)、一見何でもありなこの街にも種族間の「隔たり」は存在する。

その象徴的存在が莫大な維持費を賭けて維持されている「ゲットー・ヘイツ」なのです。


・そんな種族の「隔たり」の象徴の前で出会ったレオとネジは、ハンバーガーを通して次第に仲良くなっていきました。

ネジにとって、H・L内では42番街でしか売られていない「ジャック&ロケッツ」のハンバーガーは中々手に入れる事の出来ない憧れの対象。
ネジは街区から出てくるハンバーガー屋の袋を持つ人間を見かけてはハンバーガーをねだっていました。
交通事故に遭う事もなんのその。他人の食べかけでも問題ない。買ってきてもらった人間に通常料金の倍以上の金額を請求されたとしても言い値で払ってしまう。

「42番街」には異界人は入れず、異界人であるネジの為にハンバーガーを買ってきてくれる人類など中々いない。
例え付け込まれていると分かっていてもお金を払ってしまうぐらい、ネジにとって「ジャック&ロケッツ」のバーガーは求めてやまぬものだったのです。

・これまで登場した異界人たちを見ればわかるように彼らには彼らなりの思考があり、心もある。
勿論とんでもない「存在」は多数いるものの、無茶をしなければ普通に“人づきあい”は出来る様子。
眼の事があるまでは極々普通の少年だったらしいレオも今ではこの街にすっかりなじんでしまっています。

しかし、それはレオがザップ曰く『この街に毒されて』いるからであって決してH・Lに住む人類にとってはメジャーな感覚ではありません。
所詮、外界の人間から見ればネジたち異界存在は化物たちの群れ。「人」とは認識していないのです。
だから、例えば今回登場した「ジャック&ロケッツ」のバーガーの包み紙には名物であるヒーローのイラストが描かれているのですが、異界人が食べる可能性があるテイクアウト用には「エサに見える」というクレームを避けるために真っ白の包み紙が使われています。

これは人間の人種間でやったら明らかな差別。
しかし、「人」では無いものだから人間側に差別しているという意識はない。
普通の人間からするとむしろ異界人に肩入れするレオの方が変わっているのです…。

しかし、見方を変えれば混沌とした世界に馴染みながらも、理不尽な事に憤るというごく普通の感性を発揮できるレオは「強い人間」だと言えるのかもしれません。

まあ、ライブラで鍛え上げられてるという見方もできないではないですが…(だいたい、ザップとパトリックもレオと異界人のネジの付き合いを心配するより、レオがハンバーガーの食べ過ぎで太ってきた事の方を心配するような人間だし)


・人類のレオと異界人のネジ。
彼らにはほんの簡単なきっかけで「友情」が芽生えました。
しかも、それはレオの一方的な感情ではなく、ネジの中にも確かに芽生えていたものでした。

ネジは『耐えがたい現実から逃れるため多大なストレスがかかると、頭部から記憶を喪失させる胞子を噴出する』という特性を持つ種族でした。
その特性を利用しようとした人間の小悪党に捕まり殴られまくった時、“人間”に殴られているにもかかわらず、一緒に捕まっている“人間”のレオに対してまた一緒にハンバーガーを食べに行こうと今の酷い仕打ちを耐えようとします。
しかし、ネジを助けようとしたレオが殴られ、血が流れたのを目撃した時、一気に胞子が噴出。
結果、レオと小悪党たちを始めとした何千人もの人間を巻き込む「集団記憶喪失事件」が発生しました…。

ネジが耐えられなかった「現実」は「殴られ続ける事」ではなく、「レオを失う事」だったというのが何とも印象的。この場面には本当に文字通り泣かされました。


・結果的に、レオは記憶を失う胞子を吸ってしまってネジの事を忘れてしまいます。
あれだけ食べたハンバーガーも久しぶりに食べるとしか思えません。

それでも「ジャック&ロケッツ」のチーズバーガーを通して、失われたはずの「絆」がもう一度復活すると予感をさせるエンディングが何とも心温まります。
(また、因果応報な結末になっているのもすっきりと気分にさせてくれました)


『血界戦線』はどちらかというとアクションが主体の漫画ですが、今回は一切派手なアクションシーンは無し。「世界と世界のゲーム」のような別の形の“闘い”も描かれません。
異能力を持つものの、ごく普通の少年であるレオならではのお話。

内藤先生の目を楽しませるアクションは最高ですが、『トライガン』の時にもあった心に温かいものを残すストーリーもやはり素敵です。

また、今回の話でレオの「強さ」を改めて知らされたような気がしました。


今回のような話が読めると、次はどんなお話が用意されるのか?とますます楽しみになっています。



関連記事
スポンサーサイト




この記事をリンクする?:


コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

KURO

Author:KURO
漫画家・内藤泰弘さんファンのKUROがお送りする趣味に関することを色々書いているブログです。不定期更新。

主に「ジャンプSQ.」「ジャンプSQ.クラウン」掲載の『血界戦線』の感想で構成されています。

『血界戦線』は次回掲載までに更新が目標です。

※現在更新停滞ぎみです…。アニメ『血界戦線』第2期までには調子を戻したい…

コメント、ブログ拍手ありがとうございます。
返信はかなり遅いので、ご了承ください。

image2.jpg

twitterやってます。
http://twitter.com/kuro_no

月別アーカイブ